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2025年4月6日、立正佼成会法輪閣において、学林四科合同入林式が厳粛に執り行われた。式典には、立正佼成会会長・初代学林学長庭野日鑛師が隣席され、日本国内および海外からの新入林生が、仏教の学びと奉仕の道を共に歩み始めた。
式典では、各科(大樹・光澍・芳澍・蓮澍)の新入林生代表が「誓いの言葉」を力強く発表し、菩薩の誓願を新たにした。杉野学林学長は訓話の中で、マハトマ・ガンジー翁の「Be the change you wish to see in the world.(世界を変えたければ、まず己がその変化となれ)」を引用し、自らが変革の体現者となることの重要性を強調。「学林のビジョンとは、己を磨き、その輝きをもって社会へ、世界へと良き影響を広げていくことである」と述べた。また、2600年にわたる仏教の歴史の最先端に立つ新入林生に対し、「伝統を創造的に変革する」使命があると語り、深い期待を寄せた。
さらに、マハトマ・ガンジー翁の孫であり、WCRP国際名誉会長のお一人として、世界の宗教指導者とともに、正義に基づく平和世界の実現に尽力されているエラ・ガンジー師より、映像による祝辞が寄せられた。エラ・ガンジー師は、南アフリカにおいて非暴力主義を実践され、宗教者、国会議員として、アパルトヘイトに立ち向かった経歴を持つ。祝辞では、人生を導く五つの教えが新入林生へ向けて語られた。
第一に「学林での経験に深く没入すること」真の教育は心、身体、魂を育むものであり、学ぶ者は生涯を通して謙虚に学び続ける存在であると強調した。
第二に「普遍的な価値観を深く理解し、内面化すること」価値を学ぶだけでなく、それを日々の生活で実践し、生き方として体現することの意義を説いた。
第三に「真の信仰者の特質を身につけること」賛歌「Vaishnava Jana To」(ヴァイシュナヴァ・ジャナ・ト)を引用し、他者の痛みに寄り添い、謙虚であり続け、すべての人を受け入れる心の在り方を説いた。「日々の生活の中で意識し、自己の在り方をつくってください」と激励した。
第四に「祈りの力を常に忘れないこと」祈りには、継続する力、困難を乗り越えるしなやかな力を与えるものであると語った。
最後に「究極の目標は奉仕すること」人や自然、宇宙への奉仕こそが、真の至福をもたらすとし、奉仕の重要性を強調した。
教団代表あいさつで熊野隆規理事長は、「学林生活は、痛みと癒し、苦悩と幸せの両面を味わい、丈夫な自分を育む場である」と述べ、多様な出会いが人生の貴重な財産になることを新入林生に伝え、力強い激励の言葉を送った。
熊野隆規理事長のあいさつに続いて庭野会長が登壇した。木村和夫氏の詩「習慣」を引用しながら、「どのような習慣を日々積み重ねていくかが、その人の人生を形作る」と説いた。「忙しい(心を亡くす)」という言葉の意味にも触れ、自己を見失わず、集中すべきときには全力を尽くせるような良き習慣を身につけてほしいと、新たな学びに臨む入林生たちに温かな期待を寄せた。
学林入林式 祝辞
ガンジー財団創設者 エラ・ガンジー師
庭野会長先生、杉野学長、そして学林講師、学林生の皆さまに御礼申し上げるとともに心からのご挨拶を申し上げます。現在、人生を変える道のりの入口に立っている入林生の皆さまにメッセージを贈ることができてうれしく思います。
はじめに、この名誉ある学林に入林されたことを心よりお祝い申し上げます。これからの数年間は、皆様にとって刺激的であり、また、使命に向けての準備を整える貴重な時間となることでしょう。
入林生へのメッセージとして、マハトマ・ガンジーの教えの中から、私が学んだ五つのヒントを簡単にご紹介いたします。これから皆様が歩んでいく旅路において、何かしらの助けとなれば幸いです。
- 学林生の皆さん、第一に学林での経験に深く没入して下さい。真の教育とは、心、身体、そして魂を成長させることだからです。真の学生とは、生涯を通して学ぶ者であり、あらゆる人生経験から学ぶ準備ができている謙虚な学習者です。そして、その過程を通して、信仰を深め、自己と人生の大いなる目的への理解を深めることができるでしょう。
- 第二に、普遍的な価値観を深く理解し、内面化することです。ガンジーの伝記作家であるスティントラ・クルカルニは、次のように記しています。
「ガンジーの目指すものは国境に縛られることのない、普遍的な目標であった。平和で協力し合う世界秩序、搾取のない経済、すべての人々の尊厳と正義、女性のエンパワーメント、そして自然やあらゆる生き物への敬意。これらの目標は、真理・非暴力・愛・正義・親切・慈悲という永遠の価値観を実践することで達成できる。」
これは、まさに皆様が学ぶこの学林の教えの根幹とも通じるものです。これらの価値観をただ学ぶだけでなく、日常生活の中で体現し、生き方そのものにしていってください。
第3に、真の信仰者の特質を身につけてください。ガンジーが愛した賛歌 「Vaishnava Jana To」(ヴァイシュナヴァ・ジャナ・ト)には、真の信仰者の姿が次のように表現されています。
- 他者の痛みを理解し、それを自分の痛みとして感じる人
- 見返りを求めず、善行を積み続ける人
- 称賛を受けても決して驕らず、謙虚であり続ける人
- 誰の悪口も言わず、すべての人を批判せずに受け入れる人
- 周囲の影響に流されることなく、自らの信念と価値観を貫く人
- 心を開き、他者の声に耳を傾け、理解しようと努める人
- 思考と行動が常に純粋である人
この賛歌は、ガンジーの信仰と生き方に深い影響を与えました。そして、これらの資質は、皆様が学林での学びを深める中で、自然と身についていくことでしょう。どうか、この教えを日々の生活の中で意識し、自己の在り方を形作ってください。
第4に、祈りの力を常に忘れないでください。知識の力、奉仕の力、自制の力は皆さんの修行において不可欠です。ここには、瞑想、深い呼吸、そして祈りを通じて至ることができます。祈りこそが、継続し続ける力、困難を乗り越えしなやかに回復する力を与えてくれます。ですから、祈りを皆さんの生活に欠かせないものにするよう心掛けてください。
最後に、皆さんの究極の目標は奉仕することであるべきです。
イタリアのキアラ・ルービック師はこうおっしゃいました。「人生は試練の期間であり、その最後には試験を受けます…『あなたがたは、私が飢えていたときに食べさせ、のどが渇いていたときに飲ませてくれたからです』。これらの慈しみの行いが試験科目となるでしょう。」
学林生としての道を歩む中で、奉仕は欠かせません。「奉仕」の定義は広く、仲間の人間だけでなく、動物や自然、宇宙への奉仕も含まれます。この奉仕の中でこそ、私たちは究極の至福を得ることができます。私たちは互いに依存しあい、自然と関係し合っているからです。
これらの5つのガンジーの思想を心に留めてください。皆様の旅路が充実したものとなり、実り多い学びが得られることを心より願っています。
ありがとうございました。